Studio Radishネットワーク速度測定システムRadish Network speed testing
 
ネットスピード 資料室 統計データ 過去ログ
12Mサービスの実力を8Mサービスと比較・検証

ADSL 12Mと8Mサービス。どの程度の違いがあるのでしょうか。その実力を当サイトで測定された結果を元に比較してみました。
ここでは伝送損失を近距離、中距離、遠距離の3つに分け、比較を行っていきます(※)。
近距離・・・伝送損失20dB位まで 測定分布図よりフルリンクが期待できる範囲だと思われます。
遠距離・・・伝送損失40dB程度以降 このあたりから接続できないケースが出てくると思われます。
中距離・・・上2つの間、伝送損失20〜40dB
※ADSLには、伝送損失の値が大きいほど信号が減衰し、通信速度が遅くなるという性質がありますから、単なる結果のみではなく伝送損失に基づいて比較を行う方がより良い考察ができると思われます。
今回は2002年12月に測定された結果を使用しております。

【1】近距離(〜20dB)
20dB以下の範囲でパーセンタイルはこのようになっています。
目盛 Acca eAccess flets ybb

Acca
eAccess
フレッツ・ADSL
Yahoo!BB
指標

ACCA eAccess フレッツ Yahoo!BB
10Mサービスがなかなか優秀です。
12Mサービスは随分速いですね。アンケートでも回線満足度が最近になって上がってきています。
12Mサービスは伝送損失による速度の低下が著しいですが、超近距離の方にはかなり良い速度が出ているようです。
8Mサービスが非常に優秀ですね。そのため12Mサービスも速いのですが差はほんのわずかしかありません。7.3M問題もまだあるようで残念です。
8Mと12Mどちらを選ぶ?乗り換える価値は?・・・(近距離の場合)
「ACCA」なら10Mサービスを選ぶのがおすすめです。もちろん料金に差がないのであれば12Mサービスを選びたいところですが、価格差に見合うだけの違いは出ないと思いますので、一番お得なのは10Mサービスということになります。(ちなみに、おそらくですが新規加入に8Mという選択肢はないと思います)
「eAccess」の12Mサービスは随分速くなってます。当サイトで行ったアンケートでも、8Mサービスしかなかった時期には回線品質に対する満足度が他の3社と比べ非常に低かったのですが、それも回復しつつあるようです。詳しくはこちらをどうぞ。
「フレッツ・ADSL」は、12Mを選ぶ価値はあるようです。表から見て、条件がよければ20〜30%程度の速度アップが期待できます。それが価格差に見合うだけの速度アップだと思うかどうかで判断の分かれるところだと思います。
最後に「Yahoo!BB」ですが、別ページで「7.3M 頭打ち説を検証」としてとりあげておりますが、非常に多くの方が7.3Mの速度しか出せない状況にあるようです。そのため、8Mサービスとの速度差はほとんどありません。しかし、今後この問題が解消すれば10Mbps超になる可能性のあるポテンシャルを持っているようなので将来の増速に期待して12Mサービスを選ぶというのも悪くはないと思います。
現在、Yahho!BBの8Mサービスをお使いの方は急いで乗り換える必要はなさそうですね。
最高速度の低下も多少気になるところ・・・
さて、12Mサービスでは最高でいったいどのくらいまでの速度を出すことが出来るのでしょう。20dB以下の範囲の測定結果の分布は次のようになっています。
目盛 Acca eAccess flets ybb
12M
8M

Acca
eAccess
フレッツ
Yahoo!

当測定システムで測定される理論的な限界値はおよそ次のようになります。
8Mサービス では 約 7M
12Mサービス では 約 10M
値の算出方法については右のコラムをご参照ください。

したがいまして、好条件であれば、8Mサービスを利用している場合は約7M、12Mの場合には約10Mまでを出せる可能性があるはずです。
ところが上の分布図より、8Mサービスではかなり多くの方が限界値を出しているのに比べ、12Mサービスでは限界値がほとんど出ていないのがお分かりになると思います。これはちょっと気になるところです。

以上の記事は、それぞれの業者ごとに「8Mサービスと12Mサービス」を比較したものです。回線事業者間での比較ではありませんのでご注意ください。

【2】中距離(20〜40dB)
目盛 Acca eAccess flets ybb

Acca
eAccess
フレッツ・ADSL
Yahoo!BB
指標
ACCA eAccess フレッツ Yahoo!BB
伝送損失40dB近くなると、8Mサービスと12Mサービスの差がなくなってしまうよう。10Mサービスの方が12Mサービスを上回っているのは疑問?
1M前後の速度アップ、場合によってはそれ以上が期待できるのでは?
伝送損失が30dB付近で8Mサービスと12Mサービスの差がなくなってしまう様子。
1M前後の速度アップ、場合によってはそれ以上が期待できるのでは?
中距離ユーザーも12Mにすれば速度アップが期待できるのか・・・?
eAccessYahho!BBについては、50パーセンタイルの値を比べると、およそ1〜1.5M程度上がっているようです。90パーセンタイル、10パーセンタイルの値も、8Mサービスに比べると12Mサービスの方が良くなっていますので、この2業者に関しては、中距離ユーザーは12Mサービスを使用した方がよりよい速度で通信が行えると言えるでしょう。
さてAccaフレッツ・ADSLについてですが、12Mサービスの値と他のサービスの値が伝送損失が大きくなるにつれ逆転しているようです。これは、この統計処理をした月だけに限った現象ではないようです。この現象がいったいどういったことを意味するのか、残念ながら測定結果からだけでは分かりませんが、30dB以上では12Mサービスを選んでも速度的なメリットは期待できないのかもしれません(もちろん安定性が上がるなどといった速度とは関係のない効果はあるかもしれません)。

【2】遠距離(40dB〜)
長距離化によりサービス利用可能な範囲は増えた?
遠距離ユーザー、そしてこれまでADSLをあきらめていた方の気になることといえば、12Mサービスの長距離化技術により、どのくらいADSLの利用可能範囲が広がったかということではないでしょうか。
12M 8M
 Acca
 eAccess
 フレッツ・ADSL
 Yahoo!BB
ユーザーの声(掲示板より)
電話局から6.5km。ADSLは無理かと思っていたがISDNからYahoo!BB12Mに乗り換えた。測定結果は1.2M。
Studio Radishより
同じ6.5kmでも電話線の品質によって伝送損失はだいぶ変わってくるようなので、伝送損失はどのくらいなのかが知りたいところ。
ちなみにスタッフの一人は4.5km伝送損失48dBでYahoo8Mでは繋がらず、リーチを導入している。
分布図の▼(A)のようにデータを示す点がx軸に接し始める箇所が、ADSLで繋がらないケースが出てくる地点です。どの業者も12Mサービス、8Mサービスともにおよそ40dB前後です。
8Mサービスで繋がる可能性がある限界値は、分布図の▼(B)のような、赤い点が途切れる箇所です。
12Mサービスで繋がる可能性がある限界値は、分布図の▼(C)のような、青い点が途切れる箇所です。
群れから大幅に外れているわずかなデータについては、測定誤差と考え無視しております。
このB点とC点の間隔が、長距離化により増えたサービス利用可能な範囲を示すことになるのですが、この間隔が明らかに広くなっていると思われるのはYahoo!BBのみのように思われます。
Yahoo!BBについては、8Mサービスのデータの群れがやや右よりにスライドしたような形で12Mサービスのデータが並んでいます。ですから、多少利用可能地域は広がったのではないかと推測されます。伝送損失65位まで繋がる可能性があるのではないでしょうか。

最後に・・・
この特集ページでは12Mサービスがどれくらい優秀であるかを見るために、同じ回線事業者の提供している8Mサービスと比較しました
まだ、サービス開始後まもないので、回線のほうも安定していないかもしれませんし、回線の容量等の登録ミスがある可能性もありますが、グラフの状況が大幅に変化するようでしたら記事の内容も変更していきたいと思っていますので、回線選びの際にはその直前にこちらをのぞいてみてください。
ここでお願い!
速度測定のページでご登録になった回線情報に間違いはございませんか
正確な統計情報を出すため、登録は正確にお願いいたします。測定方向などを設定する欄のグリーンの範囲に、あなたのご登録になった内容が表示されておりますので、今一度ご確認くださいませ。ご協力よろしくお願いいたします。
特にリーチでかなり速い速度が何件も記録されていますが、これは本当なのでしょうか。もし、お間違いになっておられるようでしたら、登録内容の変更をお願いいたします!
・各回線事業者の12Mサービスの案内ページ・・・ACCAeAccessYahoo!BB

理論的な限界値について
回線事業者のいうサービスの最大速度(公称値という)と、当測定システムで測定している速度は、測っている対象が微妙に違います。
データを荷物に例えてお話しましょう。荷物を送る場合には、箱などに詰めて送りますよね。データもそのままの状態で送ることはできないので、カートに乗った状態で回線を行き来しています
公称値イメージ図公称値ではこのカートの重さも含めて、8Mなり12Mなりまで送ることができますよといっていることになります。
測定値イメージ図私たちの測定システムでは、カートの重さを含めない実際のデータの重さのみを量っています。ですから測定される最大値は公称値よりも少し小さな値になります。
カートの重さは業者ごとに決まっているのですが、だいたい全体の15%です。ですから、公称値が8Mならその約85%の約7Mが、12Mならその約85%の約10Mが、理論的な限界値ということになります。

各サービスの特性
8Mサービスの特性、1.5Mサービスの特性について技術的なことも含めて詳しくお知りになりたい方は、RBB TODAYの井上博之「ブロードバンドのキーワード」ADSL編(10)〜8Mbps回線は不安定なのか?〜などが大変参考になると思います。ぜひご覧下さい。
この中でeAccessがG.dmtの場合はAnnex Cのほうが同Annex AよりもISDNのノイズ影響下では距離による影響を受けにくくなっていると述べていますが、これは問題にもなっていましたが、この説の信頼性は不明です。実際にStadio Radishの統計をみた感じでは、G.dmtAnnex Cを使用したACCAやeAccessの方がG.dmtAnnex Aを使用したYahoo!BBより安定しているといった様子は特に見受けられません。この点のみ、注釈を付け加えさせていただきます。

10Mサービスの特性はZD Netのアッカの隠し球? 最大10Mbpsの“拡張版Annex C”詳報などが参考になるでしょう。

さて、では12Mサービスについて知るには?ということになりますが、これについてはよく説明されているページがないか現在調査中です。しばらくお待ちください。どなたかいいページをご存知の方おられましたらご一報くださいませ。

お問い合わせ Studio Radishについて 個人情報保護方針 利用上のご注意 障害・メンテナンス情報