Studio Radishネットワーク速度測定システムRadish Network speed testing
 

■RWINを調節する意義
インターネットの通信速度を大きく左右するのがRWINに関する設定です。ではどうしてRWINが通信速度に影響を与えるのでしょう。
インターネットで主に使用されている通信方式(正確にはTCP/IP)では、送信したデータの確認応答を受信してから、次のデータを送信することになっています。

コンピューター間の距離が近ければ、応答が比較的早く届くため、すぐに次のデータの送信を開始することができます。
近い距離への運び
そばに居る人には時間の無駄なく荷物を渡せる

■■■RWINを大きくする、とは?■■■
ところが、コンピューター間の距離が遠くなると、応答を待つ待ち時間が長くなり、全てのデータを送信するのに時間が長くかかってしまいます。この状況は通信の効率があまりよいとはいえません

遠い距離への運び Part1
RWINの小さい状態

ポイント!
受領印を確認しなくてはならないので、次の荷物を送ることが出来ない。

待ち時間のムダ!
そこで→■■■確認応答の効率化■■■
確認応答を毎回行うのではなく、ある程度のデータを確認応答前に見切りで送れるようにすれば、待ち時間を有効に使ってデータを送ることができるので、送信完了までの時間が長くなるのを防ぐことができます。
遠い距離への運び Part2
RWINを大きくした状態

ポイント!
例えば、5個までなら5個までの荷物は受領印が返ってこなくても送ってよい、ということになり待ち時間が減る。

作業が早く終わる!

この確認応答なしで送れるデータの量がRWIN(Receive Window Size)の値です。
ということで、データの行き来にかかる時間が長い場合(一般的には往復遅延時間が長いといわれます)は、受信側の応答を待たずに送信できるトラックの台数すなわちパケットの数を増やすことで(つまりRWINを大きくすることで)、通信の効率を上げることができるのです。

それでは受領書の待ちを完全に無くすにはRWINをどのくらいにしたらいいのでしょうか。これは、使用している道が"ある時間にどれだけのトラックを通すことができるか"、すなわち"回線速度"で変わってきます(回線速度については右コラム参照)。そしてその最適化がRWINの最適化です。→TCP受信窓(RWIN)の最適化

★日頃よく利用するサイトに合わせた調整を・・・
さて、往復遅延時間の短い順は
キャリアの測定サイト近距離のRadish測定サイト遠距離のRadish測定サイト海外のサイト

国内のサイトの多くはこのあたり
ですから、適したRWINのサイズもこの順に大きくなります。

速度の出る測定サイトでRWINを調節していると・・・
速度の出る測定サイト−例えば、Radish測定サイトのうちユーザーの近距離にある方−で測定を行い、徐々にRWINを大きくしていくとしましょう。
大きくするに従い、速度が改善されていき、あるところで変化がなくなると思います。その時点で、もうRWINは十分大きくなった、と判断してよいでしょうか。
一般的に利用されることの多い国内のサイトは、速度の出る測定サイトよりも遠くにあるものがほとんどです。ですから近距離のRadish測定サイトを使って測定を行うと、目的のサイトに適したRWINよりも小さいRWINで十分な測定結果を出すようなことになってしまいます。
ですから、国内の一般的なサイトを快適に閲覧できるようにRWINを調整したいという場合には、遠距離に設置された測定サイトを利用する方がより向いているといえるでしょう。

まれに、遠距離の測定サイトに合わせて調整すると近距離の測定サイトの結果が悪くなるということがあります。しかし、RWINが大きすぎることによる速度の低下よりも、RWINが足りないことによる効率の低下のほうが一般的に深刻です。ですからあまりこうした低下ににとらわれずRWINは多少大き目に設定する方が一般的にトータルでのパフォーマンスは向上します。

●RWINを大きくすることのデメリット
RWINを大きく設定すると通信効率が向上することは説明しました。しかし、ではなぜもともとRWINを大きく設定しておかないのでしょうか。それはいくつかのデメリットがあるためです。
説明で見てきたようにRWINの設定は受信が正常に処理できたことを確認しないで見切りでデータを送っていいデータのサイズを表します。では正しく通信ができていなかったとしたら。インターネットは多くの機器を通過しますから機器に不具合がある場合も少なくありませんし、通信にはノイズがつきものでデータに誤りが生じることもそれなりの確率で発生します。こうした障害がある場合、RWINがむやみに大きいと無駄なデータ通信を生じさせます。また、ソフトウェアの実装次第ではその通信自身がそうした障害によりかえって非効率になるケースもあるようです。
また、RWINの設定はデータを確実に受信できる体制を確保していることを保障するものなので、指定サイズのメモリーを確保する必要が生じます。このためメモリーの有効利用という意味ではあまりに大きなRWINは指定できないことが分かります。
しかしながら、最近のコンピュータのメモリーの搭載量は非常に大きくなっておりOSのデフォルト値では回線速度によっては少々非効率になってきていると言えます。実際OSのデフォルト値も時代に合わせてOSがバージョンアップされていくにしたがって大きくなってきています。また、確保されるメモリーは一つの接続ごとなので非常に多くの接続が同時に起こるサーバーなどでは事情は多少変わってきます。

●RWINを調節しなくてももちろん構いません
ところで、FTTHのように高速な回線を使用しているにも関わらず、RWINを小さくしていると、近距離での速度が速いにもかかわらず遠距離では速度が出ないことになります。これでは「光にした意味が無い!」ということになるのでしょうか?
確かに一つのデータのやり取りを見ればRWINと往復遅延の問題は回線の能力を最大限には使用できないと言う結論になります。
しかしデータが通る道としての回線は、そこを使用する端末により共有されます。ですから例えば簡単な話では、ルーターなどを使って多くの端末で共有するようになれば、回線の帯域が広いことは生きてきます。
端末が増えるとは単に接続されるパソコンが増えるということだけを表す訳ではありません。例えばIP電話も端末ですし将来はこれがテレビ電話になり同時に複数の人と会話をするようなことにもなるでしょう。さらにいえばRWINの制約はソフトウェアレベルの単一の接続に関する問題なので、一つのパソコン内でも複数のソフトあるいは一つのソフトで複数の通信を接続していれば同じように有効利用できるようになります。ビデオチャットしながらブラウズしながらデータの交換なども行うというようなマルチタスクでの通信では能力を生かせると言うことです。
使うソフトがあれば大きな道もにぎわい活用されるということですね。測定結果にはこのような能力は表れませんが、実用的にはちゃんとブロードバンドの恩恵に与っているかもしれません。

参考:TCP/IPの通信手順

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■コラム■
●回線速度は帯域
当サイトでも回線速度とかスピードテストとか言う表現を使用していますが、回線速度とはデータが回線を流れる速度ではありません。
本当に回線の速度というならば端末間の距離を往復遅延で割ったものがそれに当たるのかもしれません。光回線は速いといいますが、確かに光の伝達はこの世の中で最速ですが、電線を流れる電気信号も光速とあまり変わりはないのです。
車にたとえると光回線とADSL回線などを比べると一見かたやF1でかたや乗用車のような印象をうけますが、どちらも同じ制限速度の道を走っている車でしかありません。ではその違いは何か。違いは一度に走れる車の数です。かたや1車線の道でかたや4車線の道のようなものだということですね。走れる車が増えれば同じ時間内に送れる荷物の量が増えるということです
ですから厳密にいうと回線速度と言っているのは帯域と表現されるものです。これはまさに幅を表す言葉で道の車線の幅と同じなんです。
回線の能力は車の性能ではなく道の能力なんですね。
●RWINは受信側の設定
TCP/IPでは送受信の手順は、送信側の都合と受信側の都合で、非対称な設定で動作します。そのなかでRWINとは、受信側がどれだけのサイズのデータを確実に受信できるかというような、荷物に例えるならば倉庫を用意するか、という設定です。倉庫の荷物の溜まり具合を受信の確認応答で送信側に随時伝えることで荷物が途中で溢れてしまわないようにする仕組みの一つなのです。ですからRWINの設定は、あくまで受信側の設定で、お持ちのパソコンにいくら大きなRWINを設定しても上り側の速度は速くなりません上りの速度はあくまで受信するサーバー側の都合ということです。
逆に、受信側の都合が良くても送信側の都合というのもあります。これはTCP/IPでは障害があったとき送信側がデータを再度送信しなくてはならないためです。再度送信できるようにするためにはデータのコピーを保存しておく必要があり、この記憶領域の設定によりたとえ受信側がデータのみきり送信を認めても送る方が対応できなくなるためです。送信バッファの設定がこの設定になります。ただ、Windowsの場合は現状ではシステムのデフォルト値は設定できますが、ソフト側でもこのサイズを指定できるため必ずしも全ての通信でこの設定が適応されるとは限らないようです。
ブロードバンドキャリア
■FTTH
■CATV
■モバイル
■ADSL
■参考

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