|
インターネットの通信速度を大きく左右するのがRWINに関する設定です。ではどうしてRWINが通信速度に影響を与えるのでしょう。
インターネットで主に使用されている通信方式(正確にはTCP/IP)では、送信したデータの確認応答を受信してから、次のデータを送信することになっています。
コンピューター間の距離が近ければ、応答が比較的早く届くため、すぐに次のデータの送信を開始することができます。
近い距離への運び
ところが、コンピューター間の距離が遠くなると、応答を待つ待ち時間が長くなり、全てのデータを送信するのに時間が長くかかってしまいます。この状況は通信の効率があまりよいとはいえません。
遠い距離への運び Part1
確認応答を毎回行うのではなく、ある程度のデータを確認応答前に見切りで送れるようにすれば、待ち時間を有効に使ってデータを送ることができるので、送信完了までの時間が長くなるのを防ぐことができます。
遠い距離への運び Part2
この確認応答なしで送れるデータの量がRWIN(Receive Window Size)の値です。
ということで、データの行き来にかかる時間が長い場合(一般的には往復遅延時間が長いといわれます)は、受信側の応答を待たずに送信できるトラックの台数すなわちパケットの数を増やすことで(つまりRWINを大きくすることで)、通信の効率を上げることができるのです。
それでは受領書の待ちを完全に無くすにはRWINをどのくらいにしたらいいのでしょうか。これは、使用している道が"ある時間にどれだけのトラックを通すことができるか"、すなわち"回線速度"で変わってきます(回線速度については右コラム参照)。そしてその最適化がRWINの最適化です。→TCP受信窓(RWIN)の最適化
さて、往復遅延時間の短い順は
ですから、適したRWINのサイズもこの順に大きくなります。
速度の出る測定サイト−例えば、Radish測定サイトのうちユーザーの近距離にある方−で測定を行い、徐々にRWINを大きくしていくとしましょう。
大きくするに従い、速度が改善されていき、あるところで変化がなくなると思います。その時点で、もうRWINは十分大きくなった、と判断してよいでしょうか。
一般的に利用されることの多い国内のサイトは、速度の出る測定サイトよりも遠くにあるものがほとんどです。ですから近距離のRadish測定サイトを使って測定を行うと、目的のサイトに適したRWINよりも小さいRWINで十分な測定結果を出すようなことになってしまいます。
ですから、国内の一般的なサイトを快適に閲覧できるようにRWINを調整したいという場合には、遠距離に設置された測定サイトを利用する方がより向いているといえるでしょう。
まれに、遠距離の測定サイトに合わせて調整すると近距離の測定サイトの結果が悪くなるということがあります。しかし、RWINが大きすぎることによる速度の低下よりも、RWINが足りないことによる効率の低下のほうが一般的に深刻です。ですからあまりこうした低下ににとらわれずRWINは多少大き目に設定する方が一般的にトータルでのパフォーマンスは向上します。
ところで、FTTHのように高速な回線を使用しているにも関わらず、RWINを小さくしていると、近距離での速度が速いにもかかわらず遠距離では速度が出ないことになります。これでは「光にした意味が無い!」ということになるのでしょうか?
確かに一つのデータのやり取りを見ればRWINと往復遅延の問題は回線の能力を最大限には使用できないと言う結論になります。
しかしデータが通る道としての回線は、そこを使用する端末により共有されます。ですから例えば簡単な話では、ルーターなどを使って多くの端末で共有するようになれば、回線の帯域が広いことは生きてきます。
端末が増えるとは単に接続されるパソコンが増えるということだけを表す訳ではありません。例えばIP電話も端末ですし将来はこれがテレビ電話になり同時に複数の人と会話をするようなことにもなるでしょう。さらにいえばRWINの制約はソフトウェアレベルの単一の接続に関する問題なので、一つのパソコン内でも複数のソフトあるいは一つのソフトで複数の通信を接続していれば同じように有効利用できるようになります。ビデオチャットしながらブラウズしながらデータの交換なども行うというようなマルチタスクでの通信では能力を生かせると言うことです。
使うソフトがあれば大きな道もにぎわい活用されるということですね。測定結果にはこのような能力は表れませんが、実用的にはちゃんとブロードバンドの恩恵に与っているかもしれません。
参考:TCP/IPの通信手順
広告 by Google AdSense
|
広告 by AdSense
■コラム■
ブロードバンドキャリア
■FTTH
■CATV
■モバイル
■ADSL
■参考
雑誌等への転載について
統計データの転載に関するお問い合わせはメールにて受け付けております。
統計処理の形式に関するご要望もご相談ください。
当サイトはリンクフリーです http://www.studio-radish.com Studio Radish |