Studio Radishネットワーク速度測定システムRadish Network speed testing
 
Network Speed Testing 利用ガイド

結果の見方

Network Speed Testingの測定結果には、速度以外にグラフとRTT、Jitter、接続数、測定品質が出ます。これらも測定結果を理解する上で大切なものです。不調がない場合には主に速度を見ていただければ十分ですが、他の項目から分かることも少なくありません。どんなことが読み取れるのか是非以下をご覧下さい。

RTTから何が分かるか

RTTは端末とクライアントの間でデータが届くまでの時間を表しています。小さくなるほど良好で、50ms程度までなら良好な通信ができます。25ms以下であれば低遅延で非常に高速な通信も可能になります。逆に100msを越えるようであれば通信の不安定さを感じ始め、200msを越えるとパフォーマンスの悪さが気になることも多くなります。

リアルタイム性が求められる利用でRTTが小さいことが大切なことは当然ですが、その他の通信でもRTTが大きくなると受信応答を待つ処理などにより、パフォーマンスの低下が生じがちになります。

RTTとは

RTTはラウンドトリップタイム(Round Trip Time)の略で往復遅延と呼ばれ、送信したデータが相手に受信され、受信したことのACK(acknowledgement 受取確認)応答を送信元が受けるまでの時間を表します。RTTの測定にpingコマンドを使用することから、Ping値と呼ばれることがあります。

平時のRTTは通信の物理的、構成的距離を反映します。信号が通信線を伝播する速度は光の速度の制約などで、例えば1,000km離れた端末とサーバー間のRTTは処理的な遅延が全くない場合でも往復で12ms程度はかかります。加えて、通過する中継機の処理に要する時間が加算されるので、遠距離になり通過する中継機が増えることで大きくなっていきます。

混雑時には中継機に集まったデータが処理されるのを待つ状態になる輻輳と呼ばれる渋滞のようなことが起こり、RTTは一般に平時より大きくなります。

無負荷と測定中

無負荷は速度測定のための通信負荷をかけていない状態での測定値です。インターネットの通常の利用では無負荷の値に近い特性になり、一般的にRTT値、Ping値といった場合、無負荷の値をさします。

測定中の値は、速度測定により通信の限界まで負荷をかけた状態での測定値でグラフは速度とともに時間変動を表しています。ネットワークが混雑していない場合でも混雑時の特性を表します。

通信速度の測定への影響を考慮して、約1Mbps以下の測定では測定中は測定されません。

Jitterから何が分かるか

通信の乱れを表します。小さくなるほど安定した通信ができていることを表します。安定した通信では一般的には数ms程度に収まります。

RTTの測定時に同時に算出されます。

Jitterとは

Jitter(ジッター)は送信元から受信先へデータが届くのに要した時間を連続して測定した場合の前回の測定値との差の大きさです。データが到達するまでの時間に着目している点でRTTと似ていますが、往復ではなく往路のみの片道の時間で測定している点、大きさそのものではなく連続した安定性(変化の小ささ)を評価している点が異なります。

パケットロスや経路上の処理待ちなどの要因を反映して大きくなります。

無負荷と測定中

RTT同様にインターネットの通常の利用では無負荷の値に近い特性になります。ネットワークが不安定な場合、無負荷の値が大きくなります。

測定中は輻輳状態になりますので、Jitterも大きくなりがちですが、適切なフロー制御によりパケットロスなどが抑えられた環境では、RTTが大きくなる場合でもJitterは低く安定します。

接続数から何が分かるか

接続数は測定システムが測定時に使用したTCPの接続数で、TCP1接続のパフォーマンスが高くない場合は大きめの値になります。

接続数はシステムにより良好な速度を得られる接続数が自動的に調整され、結果に表示される接続数はシステムによる調整結果です。接続数の調整範囲は測定設定で指定でき、既定では1~16接続の範囲で調整されます。

接続数が16と結果に表示される時

TCP1接続あたりの速度が回線の物理的な能力に対して非常に低くなっている可能性があります。

結果がシステムで利用する最大接続数の16接続となる場合は、測定結果が物理的な能力に達していない可能性があります。測定設定の接続数の最大を8に変更し再測定した場合に、得られる結果が半分など大きく低下する場合はこれに該当していることが分かります。

TCPの接続とは

インターネット回線の通信内に形成される論理的な通信の管理単位で、TCPセッションと呼ばれます。

接続元と接続先で管理を開始する手順をハンドシェイクといい、ハンドシェイクが成功した状態をコネクション、接続と呼びます。

TCP1接続での速度を調べる

1つの大きなファイルのダウンロードなどは多くの場合1つのTCP接続で行われます。

TCP1接続の速度は、測定設定で接続数を11に設定することで確認することができます。

TCPの通信の論理的な速度は帯域遅延積の関係式の制約を受けるため、1接続あたりの速度は物理的な回線の能力より低くなることが少なくありません。

速度が不安定な場合や測定品質が低い場合

TCPの1接続ごとの通信が不安定な場合、測定設定の最低を4接続や8接続などに増やすことによって、測定が安定し場合によっては速度の測定値も向上する場合があります。

これはTCP1接続ごとの通信が不安定な場合に、各接続で確率的に発生する不安定要因の影響が接続数を増やすことにより平準化できるためです。

測定品質とは?

測定品質は安定した状態で測定できたかを表します。

測定値の信頼性を評価する指数で最良時に100になります。

通信が不安定な場合には低下する傾向があります。ただし、必ずしも回線の品質を表すわけではございませんのでご注意ください。

信頼性は測定値の乱れと通信の異常中断の二つの要素で評価しています。

測定品質が高い時

安定した状態で測定できているので、測定値の信頼性が高いといえます。また、通信も安定しています。測定品質が80程度を超えていれば良好な結果です。現在の当システムではおよそ8割の測定で安定した測定結果を得ています。

測定品質が低い時

測定データの受信が安定していません。このため測定値の信頼性も低いといえます。測定品質が50を下回るような場合、まずは少し時間をおいてもう一度測定をお試しになることをお勧めします。測定設定の測定精度を既定値ののままお使いでしたら、に変更されると良いです。ただしこの場合、測定に要する時間と転送するデータ量が2倍程度になります。

測定品質が低下する要因としては、ネットワークの混雑、サーバーの一時的なパフォーマンスの低下、ご利用端末の他の処理の影響などが考えられます。例えば図の例では測定中に通信が途切れていることがわかります。

これらは、早朝など異なる時間帯端末上での他の処理が少ない状態、ディスクアクセスが確認できる環境ではディスクアクセスが少なくなることを待って測定すると改善される場合がほとんどです。

現在の当システムで測定品質が50を下回っているのは全測定の3%以下です。

常に測定品質が低い時

異なる時間帯を含めて複数回の測定で常に測定品質が低い場合、ハードウェアの問題とソフトウェアの影響も考えられます。

ハードウェアの問題としては、Wi-Fiなどの無線通信で他の電波の影響を受けている場合や電波が弱い場合、有線ケーブルの接続不良や電気機器からのノイズの影響、通信機器の故障なども考えられます。結果的に生じるパケットロスやパケットの再送により通信が不安定になります。

ソフトウェアの影響としては、通信を不安定にするものがご利用環境に含まれていることもあります。図の例ではデータが断続的に受信されていることが分かります。RTTは低く安定して測定されており接続は安定していると考えられますが、連続した通信に対して大きなブロック単位で処理を行うソフトウェアが介在しているのではと考えられます。

当システムでは測定を約10秒から20秒程度で行いますが、これは極力短い時間でほとんどの環境で十分な計測ができるように調整した結果ですが、ご利用のソフトウェア構成によっては経由する処理が断続的になり、安定した測定が難しいものもあります。

測定値の乱れの評価方法

測定値の乱れは統計的手法により"99パーセンタイルの領域になると推定される誤差範囲"の"測定値"に占める割合で評価しています。

誤差範囲の評価は、得られる数値が乱れの影響の大きさと直感に近づくよう調整し"99パーセンタイルの領域"を採用しています。

通信の異常中断の評価方法

測定時の全TCP接続の累計時間について、予定していた正常時の通信時間に対する実際に通信できた時間の割合で評価しています。

統計の見方

中央平均とパーセンタイルについて

「中央平均」とは上下25%を除去したデータの平均です。

「nパーセンタイル」とはデータを小さいものから順番に並べ、小さい方からn%の位置にある値を指します。これらを用いる理由は、「平均」は必ずしもデータ群の「真ん中」の値を示すわけではないということにあります。「平均」はデータ群の中にある極端に大きな値(または小さな値)の影響を受けやすく、例えば回線種別の登録ミス等により正常なデータ群から極端に外れたデータが生じると、そのデータに引っ張られ、データの「真ん中」の値を示すことができなくなってしまうのです。

そのためここの統計においては、異常なデータの影響を受けにくくするためにこれらを用いております。

伝送損失について (ADSLの統計で使用)

ADSLは伝送損失が大きくなるほど信号が届きにくくなり、通信速度が低下すると言われます。また、伝送損失は電話回線の(電話局からの)長さにも関係するため、よく「線路距離長が長いほど遅い」とも言われます。

しかし、電気信号の劣化の度合いを表すのは正確には伝送損失の方ですので、当サイトでは伝送損失を軸にして速度データを公開しております。

ご自分の伝送損失を調べるには[関連サイト]-[線路距離長・伝送損失]をご覧下さい。

参考:線路距離長と伝送損失
当サイトでの登録情報を元にした線路距離長と伝送損失の相関図
(2003年1月〜12月の登録データを使用)
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