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最近非常に高性能なルーター次々と市場に投入されている。
今回レビューするBUFFALO BBR-4HGは、そんな中でもPPPoEでのスループット(処理能力)で92.0Mbpsをうたう超高速ルーターだ。 ついこの前まで高速ルーターと言えばハイエンドユーザーをターゲットとする比較的高価なものだったが、これで定価\5,980という低価格だから驚きだ。この性能が事実なら今までのこのクラスのルーターと比較して1/3から1/4の価格だ。今回、私の今まで使用してきたルーターが機能的に手狭になったため、この高性能にも興味があり実際に購入してみた。
BUFFALO BBR-4HGは高速と言うだけでなく、基本的な機能に加え右表の通りハイエンドな機能までほとんどの機能が搭載されている非常に高機能なものになっている。特にSPI(ステートフル・パケット・インスペクション)やアタックブロックなどの高度なセキュリティー機能が搭載されていることは注目に値する。ちょっと前ならハイエンドルーターでも搭載されていなかった機能だ。
実は、私の使用する環境ではこのようなスループットが必要なほどの接続速度はない。しかし、こうした高性能機の性能にも興味もあり、価格も手ごろで、何よりもStudio Radishの運営するネットスピードのシステムの性能の検証などもしたかったためこれを試すことにしたのだ。
このために、今回はローカルに専用サーバーを用意し、ネットワークトラフィックや往復遅延などの影響を全く受けない環境でRadish Network Speed Testingによる測定ができるようにした。さらに測定は、通常のWebサービスで提供している高精度モードに比べ4倍程度の測定時間を設定したオリジナルの超高精度モードを用意した。 このクラスのルーターの持つ性能は既に通常の測定では正確な測定が難しいレベルに来ており、さまざまなレビュー記事でも満足な測定が出来ていないことが多い。そういった意味でもRadish Network Speed Testingの高い精度の実効速度の測定をこうした形で試せることだけでも結構面白い試みではないかと思っている。
公称値通りの性能
それではさっそく測定結果を見ていただこう。
結果は、メーカー公称値通り。よくメーカー公称値はあくまでメーカー公称値などと言われるが、アドレス変換テーブルや簡易ファイアーウォールなども使用したもっともノーマルな使用条件でこの値がでた。メーカー公称値に全く偽りなしということだ。と言うかむしろメーカー値を多少上回っている(これを見てもこのレベルの測定がいかに難しいかが分かるだろう)。
メーカー公称値にも見られる通りPPPoEによる接続は通常のルーティングに比べ若干の速度低下が見られるが、これはPPPoEによるプロトコルの損失の増加(計算上0.5%程度)によるものと考えるのが妥当なレベルだ。
直結での測定値から考えると、100BASE-TXのフルの性能は全く損なっていない考えて差し支えないと思う。
以上のようにノーマルな設定では驚くべき性能だが、さすがに高度なセキュリティー設定などを適用するとスループットは落ちていくようだ。
表2がテスト環境で測定された実測での測定値だ。ノーマルの設定では90Mbps超の速度もSPIとアタックブロックの2つの高度なセキュリティー機能の動作では大きな速度低下があった。逆にこれ以外の設定では取り立てて大きな速度低下は見つけられなかった。
特にSPI(ステートフル・パケット・インスペクション)の設定はかつて高速ルーターでPPPoEを利用すると大きな速度低下があったのと同じような現象が見られる。しかし、まだ搭載されている機種もあまり多くない先進的なセキュリティー機能で、負荷もかなり大きいと想像されるので、まあ速度低下は仕方のないところだろう。
IPマスカレードを使用していれば、外部からローカルネットワークへの接続は困難であり、一般的なレベルではセキュリティー的に十分とも言えが、SPIは外部からローカルへの接続をより厳密に監視するもだ。現状では特定のターゲットとして攻撃されるような状況以外では必要のないものかもしれない。しかし、昨今のウィルスの進化は急激なので、ワームと分類されるようなウィルスがこのような高度なアタックを身につける日も来るかもしれない。丁寧な解析と設定に頼る通常のパケットフィルターよりはるかに手軽に比較的確実な外部からの遮断を行うことができる。90Mbpsと比較するとかなり低速だが、これで40Mbpsなら実はかなり優秀だと思う。現実的には多少のスループットを犠牲にしても設定しておいて損ない機能だと思う。
以上のようにデータの処理能力としては、BUFFALO BBR-4HGはかなりのパフォーマンスのルーターといえるが、あくまでこの製品はパーソナルユースをターゲットとしているようで、アドレス変換テーブルのサイズやダイナミックNATのセッション数の上限など多少絞り込むことでこの性能と価格を実現している面もあるようだ。ただ、この辺もよほどのことがなければ、SOHO程度の使用では問題となるようなことのないレベルにはなっている。
とことろで、ちょっと見過ごしがちな点だがこのルーターの非常に低消費電力であることも評価したい。最大消費電力3.55Wは一般の90Mbps超ルーターと比べると1/3以下だ。通常電源を切ることのないルーターではもちろん消費電力もばかにならないが、それ以上に電力消費は直接発熱につながるので、機器の安定性という意味で大きなメリットがある。実際に電源を入れつづけても発熱はほとんどなくほんのりと暖かいだけだった。
非常に高い処理能力を持ったBUFFALO BBR-4HGだが、使い勝手の方はどうだろうか。一般的には一度設定してしまえば、そのままで使うことの多いルーターだが、やはりインターフェイスのつくりにより使い勝手は変わってくる。
BBR-4HGの設定はルーターとしては一般的なWebページによるインターフェイスになっている。基本的にブラウザさえあれば特にソフトのインストールなどは必要ない。設定画面は設定項目があまりわからないユーザーをターゲットにした簡易設定のための画面と、より詳細な設定をするための画面の大きく2つのモードに分かれる。画面構成は、常に簡易設定を優先に構成されており、高機能のルーターとは言え価格帯に合わせ、あまり詳しくないユーザーを強く意識しているのだろう。
ただ、詳細な設定をする方の使い勝手は非常に悪い。高度な設定をする場合は、毎回詳細設定のページに行かなくてはいけなく、このモードへの入り口も小さく使いにくい。デフォルトのモードを選択できるようにするなどちょっとした工夫がない。さらに、機能によっては詳細設定のページと簡易設定のページを行き来しなくては設定できない機能などもある。この辺は、詳細なモードですべての設定を完結するできるようにすべきだったと思う。全体的に設定の流れに一貫性がなく分かりづらい構成にもなっている。 また、詳細なパケットフィルターの機能を使用するにはSPIを有効にしなくてはいけないなど、あまり関係のないと思われる機能が設定上関係しているなど、不可解な部分も多かった。もっと設定項目をきれいに整理できなかったのだろうか。
また、説明書のたぐいも説明がわかりにくい、せっかく高度な機能を持っているのにそれがどういう機能なのか、どう使うべきなのか、マニュアルから理解できるユーザーは非常に少ないのではないだろうか。特に設定画面と連携しているオンラインヘルプは、もっと丁寧に作りこむべきだと思う。メーカー側からせっかくの機能だから使ってほしいという気持ちが伝わってこなかったのは、もともとどうせ分かりっこないという思想があるのではないだろうか。
価格、性能的には100点以上の製品だが、こういったソフトウェア的な面では赤点レベルだと思える状況だ。私の専門がソフトウェアなだけにこの辺は非常にもったいなく感じる。ハードウェアと違いソフトウェアは数が出れば単価が下がるのだからこうした普及機こそ作りこむべきだと思う。
※以上ファームウェアのバージョンは1.02です。
Ryuji.
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